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〔日本の偉人〕

〔さ〕で始まる日本の偉人

斉藤茂吉

(さいとう もきち)



 斎藤茂吉は、山形県南村山郡金瓶出身の歌人であり精神科医である。伊藤左千夫門下で大正から昭和前期にかけてのアララギの中心人物として知られる。

 茂吉は小学校卒業後、進学する経済的余裕はなかったが、東京浅草の医院に跡継ぎがなくその養子として、15歳で上京し、学業も続け医師となる。

 中学時代に佐佐木信綱の『歌の栞』を読み感動して短歌の世界に入り、自らも創作を始める。正岡子規の歌集を読むと感動し歌人を志して左千夫に弟子入りする。生涯で17冊の歌集を残し、1万8千首ほどを詠んでいる。



偉人のプロフィール

〔斉藤茂吉〕のプロフィール。

〔斉藤茂吉〕

斉藤茂吉の肖像・写真 
(出典:wikipedia)

プロフィール
通称 〔通称〕
斎藤 茂吉(さいとう もきち)
本名 〔本名〕
斎藤 茂吉(さいとう もきち)
別名
称号 〔栄典〕
・文化勲章
・文化功労者

時代 〔時代〕
・大正時代
・昭和時代

生誕 〔生誕〕1882年(明治15年)5月14日
〔生誕地〕山形県

死没 〔死没〕1953年(昭和28年)2月25日)(70歳没)
〔死没地〕東京都新宿区大京町
〔墓所〕青山霊園

国籍 日本国
言語 日本語
居住地
学歴 〔最終学歴〕
・東京帝国大学医学部卒

職業 〔職業〕
・歌人
・随想家
・精神科医
・医学博士

〔活動期間〕1908-1953

分野 〔ジャンル〕
・短歌
・随筆

所属 〔文学活動〕
・アララギ派
・実相観入

〔医師業〕
・青山脳病院院長
業績 ・伊藤左千夫門下であり、大正から昭和前期にかけてのアララギの中心人物として活躍した。

・歌集『赤光』が万葉語を自由に駆使し強い生命感への欲求をうたった歌風として注目された。

・研究・評論の業績も多く、大著『柿本人麿』は学士院賞を受賞している。芸術院会員であり文化勲章も受章している。

・精神科医として青山脳病院(現在の都立梅ヶ丘病院や斉藤病院)の院長を務めた。

作品 〔代表作〕
 『赤光』

〔歌集〕
 『赤光』
 『あらたま』
 『朝の蛍』
 『つゆじも』
 『遠遊』
 『遍歴』
 『ともしび』
 『たかはら』
 『連山』
 『石泉』
 『白桃』
 『暁紅』
 『寒雲』
 『のぼり路』
 『霜』
 『小園』
 『白き山』
 『つきかげ』

〔歌論・随筆〕
 『短歌私抄』
 『続短歌私抄』
 『童馬漫語』
 『金塊集私抄』
 『短歌写生の説』
 『念珠集』
 『新選秀歌百首』
 『柿本人麿(総論篇)』
 『柿本人麿(鴨山考補注篇)』
 『柿本人麿(評釈篇巻之.上下)』
 『万葉秀歌(上下)』
 『不断経』
 『高千穂峰』
 『柿本人麿(雑纂篇)』
 『伊藤左千夫』
 『源実朝』
 『小歌論』
 『童馬山房夜話第一』
 『童馬山房夜話第二』
 『文学直路』
 『短歌一家言』
 『作歌実語抄』
 『万葉の歌境』
 『童牛漫語』
 『茂吉小文』
 『島木赤彦』
 『幸田露伴』
 『近世歌人評伝』
 『明治大正短歌史』
 『続明治大正短歌史』
 『歌壇夜叉語』

〔代表歌〕
(赤光)
・はるばると母は戦を思ひたまふ桑の木の実の熟める畑に

・蚕の部屋に放ちし蛍あかねさす昼なりしかば首すぢあかし

・月落ちてさ夜ほの暗く未だかも弥勒は出でず虫鳴けるかも

・高ひかる日の母を恋ひ地の廻り廻り極まりて天新たなり

・萱ざうの小さき萌を見てをれば胸のあたりがうれしくなりぬ

・墓はらのとほき森よりほろほろと上るけむりに行かむとおもふ

・生きてゐる汝がすがたのありありと何に今頃見えきたるかや

・けだものは食もの恋ひて啼き居たり何といふやさしさぞこれは

・啼くこゑは悲しけれども夕鳥は木に眠るなりわれは寝なくに

・みちのくの母のいのちを一目見ん一目みんとぞただにいそげる

・死に近き母に添寢のしんしんと遠田のかはづ天に聞ゆる

・のど赤き玄鳥(つばくらめ)ふたつ屋梁(はり)にゐて垂乳根の母は死にたまふなり

・どんよりと空は曇りて居りしとき二たび空を見ざりけるかも

・めんどりら砂浴びゐたれひつそりと剃刀研人(かみそりとぎ)は過ぎ行きにけり

(あらたま)
・あかあかと一本の道とほりたりたまきはる我が命なりけり

・夕されば大根の葉に降るしぐれいたく寂しく降りにけるかも

・朝あけて船より鳴れる太笛のこだまは長し並みよろふ山

(つゆじも)
・あららぎのくれなゐの実を食むときはちちはは恋し信濃路にして

(遠遊)
・Praterにひとり来たりて奇術師と蚤戦争と泣く小劇と

(遍歴)
・体ぢゆうが空(から)になりしごと楽にして途中靴墨とマッチとを買ふ

(ともしび)
・家出てわれは来しとき渋谷川に卵のからがながれ居にけり

(たかはら)
・はかなごとわれは思へり今までに食ひたきものは大方くひぬ

・電信隊浄水池女子大学刑務所射撃場塹壕赤羽の鉄橋隅田川品川湾

(連山)
・機関銃の音をはじめて聞きたりし東北兵をわれは思ほゆ

(石泉)
・おほつぴらに軍服を着て侵入し来るものを何と思はねばならぬか

(白桃)
・新宿のムーラン・ルージュのかたすみにゆふまぐれ居て我は泣きけり

・ヒツトラのこゑ聞きしとき何か悲し前行したりし樂も悲しも

・陸奥をふたわけざまに聳えたまふ蔵王の山の雲の中に立つ

(暁紅)
・ガレージへトラックひとつ入らむとす少しためらひ入りて行きたり

(寒雲)
・歓喜天の前に行きつつ唇をのぞきなどしてしづかに帰る

(のぼり路)
・交尾期は大切にしてもろもろの馬ももろ人も一心となる

(霜)
・肉体に自浄作用のあることを吾聞きしより三十三年経たり

・楢の花垂りて咲けるが幽かなる心をわれに与へてやまず

(小園)
・どしや降りの午後になりつつものをいふことさへもなく木瓜の実煮たり

・鈍痛のごとき内在を感じたるけふの日頃をいかに遣らはむ

・この雪の中にこもれる村々にたたかひの世のうづくがごとし

・このくにの空を飛ぶとき悲しめよ南へむかふ雨夜かりがね

・沈黙のわれに見よとぞ百房の黒き葡萄に雨ふりそそぐ

(白き山)
・水すまし流にむかひさかのぼる汝がいきほひよ微かなれども

・最上川逆白波のたつまでにふぶくゆふべとなりにけるかも

・勝ちたりといふ放送に興奮し眠られざりし吾にあらずきや

(つきかげ)
・たかむらの中ににほへる一木あり柿なるやといへば「応」とこそいへ

・時としてベルリン郊外のワン・ゼエにも心の及ぶ老人(おいびと)われは

・円柱の下ゆく僧侶まだ若くこれより先きいろいろの事があるらむ

・おぼろなるわれの意識を悲しみぬあかつきがたの地震(なゐ)ふるふころ

・梅の花うすくれなゐにひろがりしその中心(なかど)にてもの栄(は)ゆるらし

受賞歴 〔主な受賞歴〕
・学士院賞『柿本人麿』
・読売文学賞詩歌賞『ともしび』
・文化勲章
・文化功労者
・芸術院会員

名言 〔斉藤茂吉の名言〕

・こんなうまいものがあるのか。

・こんなに明るい夜があるものだろうか。

・なにかを光らせるには、光るまで磨くだけでいい。

・己の行く道は間違ってはいない。むろん苦険道であるから時々へたばる時がある。けれども己は歩兵のように歩む。

・実相に観入して自然・自己一元の生を写す。これが歌の上の写生で、写生は決して単なる記述などではない。

・僕は老残の身をいたはりつつ、せい一ぱいの為事をして、この世を去りませう。

・清く正しきものは常に勝ちます。

・最上川の 上空にして 残れるは いまだうつくしき虹の断片。

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