〔近藤勇の名言〕
〔辞世〕(句は漢詩:七言律詩)
・辞世の句が刻まれた句碑が龍源寺境内の墓所にある。
孤軍援絶作囚俘 顧念君恩涙更流
一片丹衷能殉節 ?陽千古是吾儔
(書き下し文)
孤軍 援(たす)け絶えて俘囚となる 顧みて君恩を思へば涙 更に流る
一片の丹衷 能(よ)く節に殉ず ?陽(すいよう)は千古是れ吾が儔(ともがら)
其二
靡他今日復何言 取義捨生吾所尊
快受電光三尺劔 只將一死報君恩
(書き下し文)
他に靡き今日復た何をか言はん 義を取り生を捨つるは吾が尊ぶ所
快く受けん電光三尺の剣 只に一死をもって君恩に報いん
〔漢詩掛け軸〕
(平成23年10月、頼山陽流の漢詩掛け軸が発見された。)
只應晦迹寓牆東、喋喋何隨世俗同
果識英雄心上事、不英雄處是英雄
(書き下し文)
只だ應に迹を晦まして牆東に寓すべし、喋喋何ぞ世俗に隨って同じからん。果たして英雄の心の上の事を識らば、英雄ならざる處ぞ是れ英雄。
(現代語訳)
ひたすら隠者生活を送るべきであり、喋喋と政治を議論する俗人と同じではない。もし英雄の心が理解されるならば、英雄らしからぬことこそ英雄(なのである)。
〔強盗退治〕
ある夜の近藤の生家に数人の強盗が押し入った際の事、次兄の粂次郎が刀をつかんで飛び出そうとしたが、勝五郎(近藤勇)はそれを制して、こう言ったという。
「入ったばかりの賊は気が立っているもの。逃げる段になった時は早く逃げようと焦りも生じ、心に隙ができる。そこを衝くのが剣の秘訣だよ」
兄も納得し二人で息を忍ばせて様子を窺う。強盗たちが引き上げようとするとき、兄が斬りつけると、強盗は何も取らずに逃げ出しだ。兄が深追いしようとすると、勇は、今度は次のように言った。
「窮鼠猫を噛むの言葉もある。このへんで引き上げるのが賢いですよ」
こうして、何も盗られることなく強盗を退治したのだった。
〔名言〕
・手向かいいたすにおいては、容赦なく斬り捨てる。
・生きようという念が一分でもあっては、どうにもなりませんな。不思議なもので、死ぬ気になると、周りの景色、つまり敵の群れのことですが、その虚が見えてきます。その虚へ突っ込むのです。なんのかんの言っても、その一言ですな。
・井の中の蛙大海を知らず。されど空の青さを知る。
・忘れてはならぬものは 恩義。
捨ててならぬものは 義理。
人にあたえるものは 人情。
繰返してならぬものは 過失。
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