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〔世界の偉人〕

〔こ〕で始まる世界の偉人

コナン・ドイル
（Sir Arthur Ignatius Conan Doyle）

　コナン・ドイルは、1859年5月22日にスコットランド・エディンバラの測量技師補の息子として生まれた。父親がアルコール中毒者だったことで、コナン・ドイルの幼少期～青年期の生活は困窮していた。

　叔父たちの援助を受けて、1876年にエジンバラ大学医学部に進学、1881年に学位を得て卒業する。卒業後、医師として開業するもうまく行かなかった。病院では暇な時間が多かったため、副業として小説を書くようになり、1884年に、シャーロック・ホームズシリーズの第一作となる『緋色の研究』を発表する。

　そして、1889年には、歴史小説『マイカ・クラーク』を発表、1890年には、ホームズシリーズの第二作『四つの署名』を発表する。続いて、1891年に発表した歴史小説『ホワイト・カンパニー』も好評で、小説家として大成功を果たす。

　本業の方は不調で、1891年には診療所をやめ、眼科医を始めたものの患者は皆無状態で全く惨めな状況であった。このため、医業を完全に断念し、執筆業一本で生きる決心をする。

　1891年からは『ストランド・マガジン』でホームズ短編小説の連載を始め、超絶な人気を得ることとなった。

　しかし、ホームズシリーズが有名になり過ぎることに嫌気がさし、遂に1893年に『最後の事件』を発表して、ホームズを死なせてしまう。彼は歴史小説を書くことこそ自分の本分と考えていたのである。

　その後、歴史小説を目指して、ナポレオン戦争時代を舞台に、『ジェラール准将』シリーズを連載する。1900年にボーア戦争が起こると、医師の一人として医療奉仕団に参加、戦地にも向かう。

　ボーア戦争がゲリラ戦化し、イギリス軍の残虐行為への批判が高まる中、1902年に『南アフリカ戦争 原因と行い』を発表して、イギリス軍の汚名挽回を図る。この功績により国王エドワード7世より〔ナイト〕の称号を授与される。

　1901年には、久々のホームズ作品となる長編小説『バスカヴィル家の犬』を発表するが、小説内の時代は『最後の事件』以前に設定され、ホームズが生きていた時代とされた。しかし、1903年から再開したホームズ短編連載では、『最後の事件』で死んだはずのホームズは、実は生きていたという設定に変更される。ホームズは復活したのだった。

　1912年には『チャレンジャー教授』シリーズとなる第一作『失われた世界』を、その翌年には第二作の『毒ガス帯』を発表して、SFも書くようになる。

　1914年、第一次世界大戦が勃発すると、戦争遂行を全面的に支援した執筆活動をしたり、前線を回って士気を鼓舞する演説などを行った。

　彼は、この戦争で身内の戦死や病死もあり、心霊主義に傾斜するようになる。晩年の執筆活動はそのような色彩の強いものとなった。1925年には、『霧の国』を発表し、チャレンジャー教授を心霊主義に目覚めさせる。

　ドイルは、1920年代から心臓発作に苦しむようになっていたが、医師の勧告にも耳を傾けず、執筆活動などを続けたため、衰弱しきって死の時を迎えることになる。1930年7月7日朝7時半、ベッドから窓際の椅子に移してもらい、そこからサセックスの田舎風景を眺めながら、家族に看取られて、静かに息を引き取ったという。

◆〔コナン・ドイル〕のプロフィール。