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〔世界の偉人〕

〔こ〕で始まる世界の偉人

ゴッホ
（オランダ語: Vincent Willem van Gogh）

　ゴッホは、1853年、オランダ南部のズンデルトで牧師の家に生まれた。1869年以降、一時的に画商ビーグル商会で働くが1876年に解雇されると、聖職者を志すも挫折する。1878年末以降に、画家を目指す決意をする。

　それ以降、オランダのエッテン・ハーグ・ニューネン、そしてベルギーのアントウェルペンに在住して、弟テオドルス（テオ）の援助を受けながら画作を続ける。オランダ時代に描いた絵は、貧農者の生活を描いた暗い印象の絵が多いが、『ジャガイモを食べる人々』は、彼の代表作のひとつとなった。

　1886年2月にはパリに移住し、印象派や新印象派の影響を受けながら、明るい色調の絵を描くようになり、この時期の代表作に『タンギー爺さん』がある。また、この頃に日本の浮世絵に興味を抱き、収集や模写を行っている。

　1888年2月には南フランスのアルルに移住し、多くの名作を残した。この時代の代表的作品には、『ひまわり』や『夜のカフェテラス』などがある。

　南フランスに画家の協同組合を作ろうと念願していたゴッホは、1888年10月末から同じく画家のゴーギャンと共同生活を始めたが、わずか二か月ほどで行き詰まってしまう。ゴッホが耳切り事件を起こして共同生活は終る。

　精神を病むゴッホは、発作に苦しみながらアルルの病院への入退院を繰り返すようになり、1889年5月以降はアルル近郊のサン＝レミの精神病院で入院生活を送るようになる。この精神病院時代にも、発作の合間に風景画や人物画を描き続けたが、名画『星月夜』など多くの作品を残した。

　1890年5月にサン＝レミの精神病院を退院して、パリ近郊のオーヴェル＝シュル＝オワーズに移り画作を続けたが、7月27日、自ら銃で胸を撃ち、29日に死去した。37歳だった。彼の発作の原因は、てんかん、統合失調症など様々な病名が挙げられているが、はっきりはしない。

　とても意外なことだが、彼の生前に売れた絵は、たった一枚『赤い葡萄畑』という絵 だけだったというが、数枚は売れたという説もある。

　死後になって、回顧展が開かれたり、書簡集や伝記の出版などが起こり徐々に有名になり作品の評価も高まった。弟のテオや友人らと交わした多くの手紙が、書簡集として出版されている。

　『炎の人ゴッホ』に代表される小説や映画が創られ、情熱的な作家、狂気の天才などと呼ばれるようになる。

　約10年間に彼が描いた絵は2100点以上にもなる。油絵約860点、水彩画約150点、素描約1030点、それに版画約10点、手紙に描いたスケッチ130点などである。

　最も有名な作品は、アルル時代以降の最後の2年間に描かれた油絵である。多くの自画像や肖像画、花の静物画、風景画などが多く、特に『ひまわり』や『糸杉と星の見える道』が有名である。

　自己の内面や情念を描き出した彼の作品は、それまでの印象派とは一線を画するものであり、ポスト印象派を代表する画家であり、表現主義の先駆けでもあった。

◆〔ゴッホ〕のプロフィール。