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〔世界の偉人〕

〔お〕で始まる世界の偉人

オッペンハイマー
(J. Robert Oppenheimer)



 ジュリアス・ロバート・オッペンハイマーは、ユダヤ系アメリカ人の物理学者である。理論物理学の広範な領域において著名な業績をあげた人物である。

 第二次世界大戦当時、ロスアラモス国立研究所の所長として、アメリカが原子爆弾を開発する極秘プロジェクト〔マンハッタン計画〕を主導したことで知られる。後に〔原爆の父〕と呼ばれるようになった。



 オッペンハイマーは、ドイツ系アメリカ人の父親とユダヤ人の母親とのあいだにニューヨークで生まれた。

 幼少時より賢く、地学や数学、化学に興味の抱くほか、外国語を学ぶ能力を発揮し、最終的には6つの言語を話した天才である。しかし、運動神経はあまりよくなかったらしい。

 ハーバード大学に進学すると化学を専攻、3年間で最優秀の成績で卒業した。イギリスのケンブリッジ大学に留学、キャヴェンディッシュ研究所で物理学や化学を修めた。


 この研究所でニールス・ボーアに出会い理論物理学分野に没頭するようになる。そして理論物理学分野が発展していたゲッティンゲン大学へと移籍し、そこで博士号を取得した。ここでの業績として、マックス・ボルンとの共同研究で「ボルン-オッペンハイマー近似」を発表した。

 1929年以降、カリフォルニア大学バークレー校やカリフォルニア工科大学助教授となり、物理学を教え、1936年には教授となる。

 1930年代末ブラックホールなどの宇宙物理学分野の先端的研究を行っていた。おりしも、その時代、第二次世界大戦がはじまり、1942年に原子爆弾開発を目指すマンハッタン計画が開始される。1943年、オッペンハイマーはロスアラモス国立研究所の初代所長となり、この計画を主導することとなる。

 1945年7月16日、人類最初の核実験である〔トリニティ実験〕がアメリカのニューメキシコ州ソコロで行われ成功する。

 そして、8月6日の広島原爆投下、8月9日の長崎原爆投下への悲劇へと続くのである。彼は、超絶な兵器を見せて世界の戦争をなくそうと考えていたが、人類はそれを通常兵器と同様に使ってしまったことに絶望したという。

 1947年にはアインシュタインを擁するプリンストン高等研究所長に任命されたが、核兵器への反対を表明するようになる。ここでは、後に〔水爆の父〕と呼ばれるようになる、エドワード・テラーと対立することとなった。

 戦後に進行したソ連との冷戦を背景に、アメリカのジョセフ・マッカーシーがいわゆる赤狩りを始めた。妻や実弟など親近者、そしてオッペンハイマーの元恋人らがアメリカ共産党員だった。

トリニティ実験 
(広島原爆投下)
(出典:wikipedia)
トリニティ実験 
(トリニティ実験)
(出典:wikipedia)

 自身も共産党集会に参加したことがあって、オッペンハイマーは機密安全保持疑惑により休職処分に処せられ、生涯にわたってFBIの監視下におかれた。

 戦後、悲惨な原子爆弾開発の罪の意識からか、日本の学者がアメリカで研究できるよう尽力するようになる。彼は原爆開発を真実後悔していたのである。

 1965年、オッペンハイマーは喉頭がんになり、手術や放射線療法、化学療法を受けたが、その効はなく、1967年ニュージャージー州プリンストンの自宅で没した。62歳だった。


偉人のプロフィール

〔オッペンハイマー〕のプロフィール。

〔オッペンハイマー〕

オッペンハイマーの肖像・写真 
(出典:wikipedia)

プロフィール
通称  オッペンハイマー
本名  ジュリアス・ロバート・オッペンハイマー(Julius Robert Oppenheimer)
別名

 オッピー。原爆の父

受賞歴
時代  20世紀
生誕  1904年4月22日
死没  1967年2月18日(62歳没)
アメリカ合衆国:ニュージャージー州 プリンストン
国籍  アメリカ合衆国
言語  英語、他5か国語
出身地  アメリカ合衆国:ニューヨーク州 ニューヨーク
居住地  アメリカ合衆国
学歴  ・ハーバード大学
 ・ケンブリッジ大学
 ・ゲッティンゲン大学

職業  理論物理学者
分野  理論物理学・核兵器開発
所属  ・カリフォルニア大学バークレー校
 ・カリフォルニア工科大学
 ・ロスアラモス国立研究所
 ・プリンストン高等研究所

業績  ・核兵器開発(原子爆弾開発)
 ・ボルン-オッペンハイマー近似

 ・オッペンハイマー・フィリップス反応
 ・陽電子の予知
 ・トンネル効果の発見も重要な業績である。
 ・トルマン・オッペンハイマー・ヴォルコフ限界(ブラックホール生成研究の端緒を開いた研究)

作品
受賞歴 エンリコ・フェルミ賞(1963年)
名言 〔オッペンハイマーの名言〕

 戦後原爆の使用に関して「科学者(物理学者)は罪を知った」との言葉を残している。

サイト
その他

〔配偶者〕:キャサリン・プエニング・ハリソン (1940年 - 1967年)
〔子〕:ピーター・オッペンハイマー、キャサリン・オッペンハイマー
〔兄弟〕:フランク・オッペンハイマー