〔世界の偉人〕

サリヴァン先生

　アン・サリヴァンことジョアンナ（アン）・マンズフィールド・サリヴァン・メイシーは、ヘレン・ケラーの家庭教師である。通称は「アニー」で、日本では「サリヴァン先生」や「サリバン先生」の名で呼ばれている。

　ヘレン・ケラーは彼女のおかげで、目、耳、声の三重の身体障害を克服した偉人である。サリヴァン先生は、真の意味で「奇跡の人」である。

　サリヴァンは、1866年4月14日、アメリカ、マサチューセッツ州フィーディング・ヒルで、アイルランド移民の農民トマス・サリヴァンとアリス・クロージーの娘として生まれた。

　サリヴァンは、3歳のときに目の病気トラコーマを患い症状は思わしくなかった。9歳のときには母親が亡くなり、身体不自由の弟ジミーとチュークスバリー救貧院へ移り住むが、弟は結核ですぐに亡くなった。サリヴァン自身も目の状態が悪化しやがて視力を失い盲目となる。

　病室での弟の死や自身の盲目とう不幸なできごとでうつ状態となり、拒食症などの状態となる。しかし、その病院の看護師から熱心にキリスト教の教えを説かれることで、徐々に心をひらくようになる。

　チャリティー州委員会議長に学校に行きたいと訴え、1880年10月、14歳のときに、マサチューセッツ州ウォータータウンにあるパーキンス盲学校に入り訓練と数度の手術の結果、ある程度視力を回復する。1886年の卒業式では、卒業生総代としてスピーチを行う。

　この学校に在学中には、視覚、聴覚障害を克服したローラ・ブリッジマンと出会い、親しい友達となる。この経験が後にヘレン・ケラーの教育に活かされることとなる。

　当時、電話の発明者として有名な、グレアム・ベルは聴覚障害児の研究をしていたが、サリヴァンにパーキンス盲学校を紹介し、彼女はケラー家の家庭教師となる。

　サリヴァンは、1887年3月3日から、ヘレン・ケラーの家庭教師として活動をはじめる。ヘレンに対して、パーキン協会、ケンブリッジの女子学生対象の大学への進学を援助した結果、1900年にはヘレンはラドクリフ大学へ入学できた。

　ヘレンの旅行や、様々な講演旅行へ同伴して彼女を支援し続けた。三重苦のヘレン・ケラーをここまで育て支援したサリヴァンこそ、奇跡の人と言われるに相応しい偉人である。

　サリヴァンは、1905年5月2日に11歳年下のジョン・アルバート・メイシーと結婚する。その後、1914年頃別居するが、1932年にメイシーが死去するまで離婚はしていない。その後、サリヴァンは1936年10月20日、ニューヨークのフォレストヒルズで死去した。没年70歳であった。