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〔日本の偉人〕

〔す〕で始まる日本の偉人

菅原道真

(すがわらのみちざね)


あ行か行さ行た行な行
は行ま行や行ら行わ行

さしすせそ

〔す〕で始まる日本の偉人

杉原千畝 杉田玄白
杉文 鈴木貫太郎
鈴木章 鈴木大拙
鈴木梅太郎 菅原道真

〔菅原道真:珠玉の名言〕

・東風吹かば 匂ひをこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ。

・海ならず 湛へる水の 底までに 清き心は 月ぞ照らさむ。

・君が住む 宿のこずゑの ゆくゆくと 隠るるまでに かへりみしはや。


 菅原道眞は、平安時代の貴族であり学者、漢詩人、政治家である。道眞の出生は定かではないが、奈良市にある喜光寺に残る伝えでは、現在の奈良市菅原町周辺で生まれたとされる。

 道真は幼少時より詩歌の才能を発揮し、貞観4年(862年)18歳で文章生(もんじょうせい)になったという。その後も次々と出世を果たす。

菅原道真の肖像・写真 
(出典:ウイキペディア)

・貞観9年(867年)文章得業生、正六位下・下野権少掾
・貞観12年(870年)位階を進め、正六位上
・貞観16年(874年)従五位下に叙爵し、兵部少輔ついで民部少輔
・元慶元年(877年)式部少輔次いで世職である文章博士を兼任
・元慶3年(879年)従五位上
・元慶4年(880年)父・菅原是善の没後。祖父・菅原清公以来の私塾である菅家廊下を主宰。朝廷における文人社会の中心的な存在となる。

・仁和2年(886年)讃岐守を拝任、式部少輔兼文章博士を辞し、任国へ下向

・仁和4年(888年)阿衡事件(あこうじけん:平安時代前期に藤原基経と宇多天皇の間での政治紛争)に際し入京して藤原基経に意見書を寄せ諌めることで、事件を収束させる。

・寛平2年(890年)任地より帰京

 これまでは、家格に応じた官職にあったが、宇多天皇に重用され次々と出世する。

 ・寛平3年(891年)蔵人頭に補任、式部少輔と左中弁を兼務
 ・翌年従四位下
 ・寛平5年(893年)参議兼式部大輔、左大弁兼務、公卿に列する。

 寛平6年(894年)には、遣唐大使に任ぜられるが、唐の混乱や日本文化の発達を理由とした道真の建議により遣唐使は停止される。更に、延喜7年(907年)に唐が滅亡し遣唐使の歴史は終結した。

 寛平7年(895年)には、参議在任2年半にして、従三位・権中納言に叙任される。翌年には長女衍子を宇多天皇の女御に、更にその翌年には、三女寧子を宇多天皇の皇子・斉世親王の妃として皇族との姻戚関係を強化する。

 寛平9年(897年)6月には、藤原時平が大納言兼左近衛大将、道真は権大納言兼右近衛大将となり、この両名が太政官のトップに並ぶ体制となる。翌月、宇多天皇は醍醐天皇に譲位すると、藤原時平と道真にのみ官奏執奏の特権を許すようになる。



 昌泰2年(899年)右大臣に昇進して、時平と道真が左右大臣として肩を並べるが、道真の勧める中央集権的な財政に対し、朝廷への権力の集中を嫌う藤原氏などの有力貴族の反撥が表面化するようになる。

 儒家としての家格を超えて大臣となる道真の昇進を妬む廷臣も多く、翌昌泰3年(900年)には文章博士・三善清行が道真に引退するよう諭すが、道真はこれを拒否する。

 道真は、昌泰4年(901年)正月に従二位に叙せられるも、間もなく醍醐天皇を廃立して娘婿の斉世親王を皇位に就けようと謀ったと誣告(ぶこく:わざと事実を偽って告げること)され、罪を得て大宰員外帥に左遷され、子供4人も流刑に処されてしまう。(昌泰の変)

 道真が京を去るときに詠んだ句は、いまの人々にも感動をさそう。

 「東風吹かば 匂ひをこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」

 その梅が、京の都から一晩にして道真の住む屋敷の庭へ飛んできたという「飛梅伝説」がある。

 左遷後の道真は、大宰府浄妙院で謹慎していたが、延喜3年(903年)2月25日に大宰府で薨去(こうきょ:皇族・三位以上の人の死去)し、安楽寺に葬られた。享年59歳だった。

 菅原道真の死後には京に次々と異変が起こる。

・延喜9年(909年)道真の政敵、藤原時平が39歳で病死。
・延喜13年(913年)道真失脚の首謀者の一人とされる右大臣源光が狩りの最中に泥沼に沈んで溺死。
・延喜23年(923年)醍醐天皇の皇子で東宮の保明親王(時平の甥)薨去。
・延長3年(925年)その息子で皇太孫となった慶頼王(時平の外孫)病死。
・延長8年(930年)朝議中の清涼殿に落雷があり、昌泰の変に関与したとされる大納言藤原清貫はじめ多数の朝廷要人死傷。(清涼殿落雷事件)
・一連の事件を目撃した醍醐天皇も体調を崩し、3ヶ月後に崩御。

 このような天変地異が多発したのは道真の祟りだと恐れた朝廷は、道真の罪を赦すと共に贈位を行うなどさまざまな名誉回復を行った。子供たちも流罪を解かれ、京に呼び返された。

 清涼殿落雷事件から道真の怨霊は雷神と結びつくようになる。道真の祟りを鎮めようと、火雷神が祀られていた京都北野に北野天満宮が建立される。その後、百年ほどの間、大災害が起きるたびに道真の祟りとして恐れられた。

 こうして道真を天神様とする天神信仰が全国に広まる。時が経ち、大災害の記憶が風化すると、かつて道真が優れた学者・詩人であったことから、天神信仰はいつしか学問の神様信仰へと変化する。

 菅原道真は、現在では学問の神様として親しまれているのである。

 近代以降は忠臣としての面が強調されるようになり、道真の肖像は、1888年~1943年の間、5円札、20円札、35円札などに用いられた。また、第一高等学校では生徒訓育を目的に、倫理講堂正面に、文人の代表として菅原道真、武人の代表として坂上田村麻呂の肖像画が掲げられていた。


偉人のプロフィール

プロフィール
通称 〔通称〕
・菅原 道真(すがわら の みちざね / みちまさ / どうしん)

本名 〔本名〕
・菅原 道真(すがわら の みちざね / みちまさ / どうしん)

別名 〔幼名〕「阿呼」(あこ)の後に「吉祥丸」へ改名

〔尊称〕菅公、菅丞相、天神、天神様
〔神号〕
・天満大自在天神
・日本太政威徳天
・北野天満宮天神

称号 〔官位〕
・従二位
・右大臣
・贈正一位
・太政大臣

時代 〔時代〕
・平安時代前期

生誕 〔生誕〕承和12年6月25日(845年8月1日)
〔生誕地〕奈良市菅原町周辺。

 ・他にも諸説あり真実は定かではない。
 ・菅大臣神社(京都市下京区)説
 ・菅原院天満宮神社(京都市上京区)説
 ・吉祥院天満宮(京都市南区)説
 ・菅生天満宮(堺市美原区)説
 ・菅生寺(奈良県吉野郡吉野町)
 ・菅原天満宮(島根県松江市)説

 ・余呉湖(滋賀県長浜市)の羽衣伝説では「天女と地元の桐畑太夫の間に生まれた子が菅原道真であり、近くの菅山寺で勉学に励んだ」と伝わる。

死没 〔死没〕延喜3年2月25日(903年3月26日)
〔没地〕大宰府
〔墓所〕太宰府天満宮

国籍 日本国
言語 日本語
居住地 〔居住地〕
・京都
・大宰府

学歴
職業 〔職業〕
・日本の平安時代の貴族
・学者
・漢詩人
・政治家

分野 〔ジャンル〕
・貴族
・学者
・漢詩人
・政治家

所属 〔主君〕
・宇多天皇
・醍醐天皇

〔氏族〕
・菅原氏

業績 〔業績〕
・忠臣として名高く、宇多天皇に重用され、寛平の治を支えた一人である。
・醍醐朝では右大臣にまで昇った。
・天満天神として信仰の対象であり現在は学問の神として親しまれる。

作品 〔著作〕
 『菅家文草』
 『菅家後集』

 『類聚国史』
 『新撰万葉集』
 『新撰万葉集』

〔和歌集〕
 『菅家御集』

 『古今和歌集』に2首が採録されるほか、「北野の御歌」として採られているものを含めると35首が勅撰和歌集に入集する。

 『日本三代実録』(編者)
受賞歴
名言 〔菅原道真の和歌〕

 此の度は 幣も取り敢へず 手向山 紅葉の錦 神の随に
 (古今和歌集)

 海ならず 湛へる水の 底までに 清き心は 月ぞ照らさむ
 (新古今和歌集)

 東風吹かば にほひおこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな
 (初出の『拾遺和歌集』:後世「春な忘れそ」とも)

 水ひきの 白糸延へて 織る機は 旅の衣に 裁ちや重ねん
 (後撰和歌集巻十九)

 君が住む 宿のこずゑの ゆくゆくと 隠るるまでに かへりみしはや
 (『拾遺和歌集』巻六)  心だに誠の道に適いなば、祈らずとても神や守らん。

〔菅原道真の名言〕

・悲しみの涙をたたえて、日本国を侵し亡ぼし、大海となして、八十年を経ての後国土を建立してわがすみかとせん。

・未だ曾て邪は正に勝たず。

・万事皆夢の如し 時々彼蒼を見る。

・勉強にしろ、仕事にしろ、誠心誠意の努力をするならば、祈らなくても、神は守ってくださる。

サイト
その他 ・江戸時代には昌泰の変を題材にした芝居や人形浄瑠璃・歌舞伎で上演されて大当たりした。

 『天神記』
 『菅原伝授手習鑑』
 『天満宮菜種御供』

 福岡県太宰府市で販売されている餅菓子の一種、梅ヶ枝餅には、次のような伝承が伝わっている。

・大宰府へ左遷されて意気消沈していた道真に、老婆が餅を供しその餅が道真の好物になったという伝承。

・左遷直後軟禁状態で食事もままならなかった道真に、老婆が軟禁部屋の格子ごしに梅の枝の先に餅を刺して差し入れたという伝承。


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