イプセン |
イプセンは、ノルウェーの劇作家であり、詩人・舞台監督でもある。 近代演劇の創始者として知られ、〔近代演劇の父〕とも称される。 シェイクスピア以後の世界で、最も盛んに上演されている劇作家だとされる。 |
イプセンは、ノルウェー生まれのノルウェー人であるが、母国を好まず、長い年月にわたりドイツやイギリスで暮らした。 イプセンが生きた時代には、ヨーロッパではヴィクトリア朝的な価値観が主流であり、それに反するようないかなる行動も文筆も、非常識であり不道徳的であると考えられていた。当時は家庭生活においても市民生活においても、礼儀正しくなければいけない時代であった。 ヴィクトリア朝の演劇では、勧善懲悪こそが期待され、主人公は悪に立ち向かう高潔な行動をとることが期待されていた。主人公は、最後には幸福を手に入れるべきとされ、不道徳な行為は、悲劇にたどり着くべきものとされていた。 イプセンは、これらには反する批評的であり、疑問を表現する現代劇に基礎を置いた。当時の善良な市民の信仰のようなもの、観客の幻想を打ち砕いたのである。 このため、イプセンの演劇はその時代には不道徳的であると考えられ、ノルウェーの国民作家とは認められない存在であった。 しかし、現代では、ノルウェー国の象徴的存在として尊敬されるようになり、世界の演劇史上で最も重要な劇作家として認められている。彼の肖像が、長い期間にわたりノルウェーの最高額面紙幣である1000クローネ紙幣に描かれていたことがそれを証明している。 イプセンの代表作として、『ブラン』や『ペール・ギュント』『人形の家』『野鴨』『ロスメルスホルム』『ヘッダ・ガーブレル』などが有名であるが、それらを含め、彼の作品には次のようなものがある。 |
『カティリーナ』 | 『勇士の塚』 |
『聖ヨハネ祭の夜』 | 『エストロートのインゲル夫人』 |
『ソールハウグの宴』 | 『オーラフ・リッレクランス』 |
『ヘルゲランの勇士たち』 | 『愛の喜劇』 |
『王位継承者』 | 『ブラン』 |
『ペール・ギュント』 | 『青年同盟』 |
『皇帝とガリラヤ人』 | 『社会の柱』 |
『人形の家』 | 『幽霊』 |
『民衆の敵』 | 『野鴨』 |
『ロスメルスホルム』 | 『海の夫人』 |
『ヘッダ・ガーブレル』 | 『棟梁ソルネス』 |
『小さなエヨルフ』 | 『ヨーン・ガブリエル・ボルクマン』 |
『わたしたち死んだものが目覚めたら』 |